英検の勉強をする際の単語帳は、どれを使うべきでしょうか。いちばん広く使われており、多くの書店の棚にあるのが「パス単」（旺文社）のシリーズだと思います。
「パス単」は、悪い本ではないのですが、私の塾では最近は「単熟語ＥＸ」（ジャパンタイムズ出版）を勧めています。理由は２つ。１つは、収録語数が多く網羅性があること。特に準１級と１級に合格するためには「パス単」では不十分です。２つ目に「単熟語ＥＸ」は、各単語に１つずつ付属している例文の質が高く、例文を音読することで、当該単語以外の英語の表現や単熟語などを広く学習することができるからです。
以下、各級別に、おすすめの単語帳を紹介していきます。
５級「絵単」、４級から上は「単熟語ＥＸ」
５級は、旺文社の「絵単」がいいと思います。親しみやすい絵と音声が付属しており、小学生にとって親しみやすい構成になっています。
４級から上の級は、すべての級で「単熟語ＥＸ」を紹介しています。すべての単語について必要十分な数の単語が収録されており、また各単語には例文そして音声が付属しています。また「単熟語ＥＸ」は最近、改訂されており、デザインも刷新されました。
単語集で単語を覚えるためには、例文を音読することが不可欠です。私の塾では、準２級以上のクラスで毎週75個の単語について、例文ごと覚えてくることが宿題になっており、授業の冒頭で単語10個と例文３つの小テストをやっています。
準１級の「単熟語ＥＸ」は難関大学入試レベル
「単熟語ＥＸ」の準１級の本は、難関大学入試とほぼ同じレベル感です。この単語集を覚えれば、東大をはじめとする旧帝大、早慶上智、医学部にも対応できます。
実際に、難関大学入試対策の単語帳として、この本を使い込む人が最近、増加しています。
また、最近は立教大学、明治大学、早稲田大学（国際教養学部）をはじめとする多くの大学で英検準１級に合格すると有利になる入試を始めており、難関大学入試と英検準１級が徐々に一体化しています。
準１級レベルの他の単語帳、２冊
今回、準１級レベルの単語帳としては、「単熟語ＥＸ」以外の本も２冊、紹介することにしました。どちらも受験生にはなじみがある本です。
１冊目は「ターゲット1900」（旺文社）です。つくりは「単熟語ＥＸ」と同じで、左ページに英単語と日本語の意味、右ページに例文が掲載されています。この本を生徒全員に配布する高校が多く、これを一通り、学習している人はたくさんいると思われます。「ターゲット1900」をしっかり、右ページの例文まで暗唱していれば、「単熟語ＥＸ」をやる必要はありません。
もう１冊は鉄緑会の「東大英単語 鉄壁」（ＫＡＤＯＫＡＷＡ）です。この本も、東大をはじめとする難関大学受験生には有名な本。鉄緑会は、東京や関西の難関高校の高校生が数多く通い、東大合格者を多数出している予備校です。
「鉄壁」のすごいところは？
「鉄壁」を紹介した理由は、まず単語数が「単熟語ＥＸ」や「ターゲット1900」よりも多いこと。次に質が高い例文が、場合によっては１つの単語に３つほど掲載されており、例文の暗唱により幅広い表現力が身につき、ライティングやスピーキングが必ず得意になること。最後に、筆写自らが書いた挿し絵がおもしろく記憶に残りやすいこと。「鉄壁」は、音声が別売りで高いことが欠点ですが、この本と音声を使いこなすことができれば必ず元を取ることができます。
「鉄壁」は、「単熟語ＥＸ」か「ターゲット1900」をやった後に、２冊目の単語帳として使うことをおすすめします。１冊目として使うと、内容が豊富なために、息切れして終わらなくなる人がたくさん出ることが予想されます。１冊目の単語帳を終わらせてから「鉄壁」に入れば、半分以上の単語は１冊目に収録されているため、負担感は軽くなります。
１級の単語集は１冊しかない
１級の単語集も「単熟語ＥＸ」ということになります。ライバルであるはずの「パス単」（旺文社）は、準１級と同じで収録語数が少なく、「単熟語ＥＸ」に負けてしまっています。
時々「１級筆記の冒頭の穴埋め問題で問われる英単語は、難しすぎる。必要がない単語ばかりだ」という批判をする人がいますが、私からすれば、このような批判は「負け惜しみ」です。アメリカやイギリスの新聞、雑誌を日ごろから読んでいたり、留学して専門的な勉強をしたりした人は「１級の単語は難しすぎる」などとは言いません。むしろ、本当に英語ができる人は「１級は、英語ができる人になるために入口にすぎない」と言います。
みなさんが単語帳を有効に使って、どんどん英語力を高めていかれることを願っています。とにかく、例文の音読です。
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