オックスフォード学院のチャンネルの登録者数が、12月30日の早朝、10000人になりました。日ごろから視聴してくださっている皆さん、本当にありがとうございます。チャンネル開設から4カ月弱で10000人を達成することができたのは、ひとえに皆さんのサポートのおかげです。
今回は、登録者10000人達成を記念して、これまでコメントの中で寄せられた質問の中から5つを選んでお答えすることにしました。どれも、英語学習についての具体的な質問です。
1から順番に解答していきます。
1 音読する時に音声は必要ですか
必要です。
いくつかの理由があります。まず、音声があると、スイッチを入れれば必ず一定の時間、オーバーラッピングまたはシャドウイングをすることができます。音声は、音読の背中を押してくれます。音声を使う最大の理由はこれだと私は思っています。
私は東大を受験していたころ、基本英文700選を自分で音読してカセットテープに録音してウォークマンに入れて持ち運び、河合塾に通う往復の時間や昼休みの時間に流して音読していました。音読は、たいくつな反復作業ですから、音がなかったら何百回から1000回も700選を音読することはできなかったはずです。
さらに、音読には別のメリットがあります。音がいつも耳から入るので、リスニングが強くなります。特にシャドウイングをする場合は、完全に聞き取りができないとシャドウイングにならないため、耳が鍛えられます。また、ネイティブの音声の真似をする、という意識で音声を使って音読を続けると、少しずつ発音もよくなってきます。
このように考えると、音読の際に音声を使うことは必須といえると思います。
2 音読して発音が良くなれば、リスニングができるようになりますか
ネイティブの真似をするという意識を持ちつつ音読をすれば、少しずつ発音が良くなる、ということは、1で申し上げた通りですが、では、発音がよくなればリスニングもできるようになるのでしょうか。
答えはイエスです。理由は2つあります。
第1に、音読によって発音を改善するために努力すると、膨大な量の英語を聴くことになります。つまり、発音が良い人は、大量の英語を耳から入れるという経験をしており、結果としてリスニングができるようになっているのです。
第2に、発音がいい人は、正しい英語の音が頭の中に入っている、ということができます。その結果、正しい英語が聞こえてきた時、すぐに理解することができます。
コメントの中で「私は音読をせず、発音は良くないが、リスニングは強い」という人がいましたが、少なくとも私の周囲ではリスニングが強い人は例外なく音読をしており、発音がいい人です。
3 音読1000回、と言いますが、100回音読して次の文章に行くのはダメですか
ダメではありません。
20世紀最高の同時通訳だった國弘正雄先生は「音読1000回しなさい」と言い続けていましたが、この「1000回」というのは、文字通りの1000回ではなく、スローガンです。必ず1000回、というわけではありません。國弘先生本人も、著書の中で「500回読んだ」と書いているところがあります。
これまで長文の問題を解いた時に、答え合わせをしただけで終わってしまった人が、毎回10回音読するようになれば、それはそれで必ず効果が出ます。5回音読していた人が30回音読するようになれば、必ず成績や偏差値が上がります。さらに、100回、200回音読するようになれば、間違いなく英語が抜群に強くなります。
「音読1000回」という國弘先生の教えは、これまでよりも10倍、20倍、100倍音読してください、というメッセージ、スローガンなのです。
ということで、100回読んで次の文章に行くのはアリです。ただ、2つ条件があります。
第1に、音読する際に、必ず文法、構文、単語、熟語を確認して、意味が完全に分かるようになっておいてください。これをしないで音読しても、上滑りになってしまいます。
第2に、1週間後、1カ月後に、その長文に戻って来て、また音読をしてください。長文音読の目標は、暗唱です。
4 英語の暗唱は必要ですか
これは、イエス、アンド、ノーです。
学習した英語の長文、短文すべてを暗唱することはできないし、する必要もありません。そんなことをしようとすれば、1日24時間では時間が足りなくなります。
しかし、範囲を絞ったうえで、英語の長文、短文の暗唱をするという習慣が身につけば、必ず英語の達人になることができます。
英語の4技能のテストの中で、ライティングとスピーキングは、どれだけ多くの英文を正しく暗唱しているのかが試されます。暗唱していないと、ライティングとスピーキングは、まったくできない、ということになります。4技能の中の、この2つは、最も差が開きます。
リーディングとリスニングも、多くの英文を暗唱をしている人が圧倒的に有利です。自分が書けて言える英文は、読めて聴ける英文です。
ということで、学習済みの英文すべてについて英語の暗唱をする必要はありませんが、たとえば「700選」「この単語集に掲載されている短文」「この長文」というように決めて、暗唱をするということを、ぜひやってみてください。
5 『新・基本英文700選』が嫌いなのですが、やらないとダメですか
この質問への答えは、ノー・アンド・イエス、です。
英語の学習方法は1つではありません。700選をやらなくても、英語の名人になることはできます。そのような意味で、この質問への解答はノーです。
ただ、今の日本で手に入る英語学習書の中で、駿台の『新・基本英文700選』は、最も優れた本の中の1つです。
私自身、また、このチャンネルに時々登場するアラタ君(英検1級、東大文科Ⅰ類1年)をはじめとする私の周囲にいる英語が得意な人は、ほぼ全員、駿台の700選を暗唱しています。このチャンネルの國弘正雄先生没後10年企画で私と対談していただいた翻訳者・通訳者の飯竹恒一さんも、そのうちの1人です。
ということで、700選の暗唱をぜひ、やってみてください。その際に、英文法や英単語・熟語で分からないところがあったら、必ず本や辞書で調べて、それでも分からないところがあれば、近くにいる先生に聞いてください。
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