入試では上位1割に入れなかった
東大にトライリンガル・プログラムという語学の特訓コースがある、このコースへの編入試験にアラタ君がチャレンジしている、ということは以前の動画でお話しした通りです。
入学試験の英語の上位10パーセント、つまり120満点のうち、およそ90点以上の得点を取った新1年生は入学と同時に英語の授業はネイティブの教授が英語ですべて教えるG1というクラスに入るとともに、第二外国語を特訓するトライリンガル・プログラムへの参加が許可されます。しかしアラタ君は81点だったため、英語の授業はG2(次の30パーセント)になり、トライリンガル・プログラムに入ることはできませんでした。
トライリンガル編入に合格!
このトライリンガル・プログラムには、編入できる制度があります。1年生の春学期(Sセメ)の英語で、全員が受験する英語の試験で上位10パーセントに入り、かつ第二外国語で優(=A、上位30パーセント以内)を取ると、編入試験を受験することができます。
春学期の成績で英語と第二外国語の成績が編入試験受験の条件を満たしている、ということが分かったのは9月中旬。編入試験まで10日ほどしかありませんでしたが、アラタ君は第二外国語として選択したドイツ語を猛勉強して編入試験にチャレンジしました。
ドイツ語のスピーキング試験の出来には自信がありませんでしたが、結果は合格でした。このトライリンガル・プログラムは、少人数(1学年約3000人のうち200人程度)ということもあり、あまり知られていませんが、東大の教員や学生はみんな知っており、外部の人(たとえば企業人事の人)にも知られているトップ層を鍛えるシステムです。
トライリンガル・プログラムの魅力
東大1・2年次の英語や第二外国語の授業の多くは、30人から40人程度で実施されます。この人数では、あまり成果を期待することができません。私(オックスフォード学院塾長)が東大生だった時は、語学の授業の人数はもっと多く、50人くらいいました。語学を本学的に学びたい人は、ゲーテ・インスティテュート(ドイツ語)、アテネ・フランセ(フランス語)などに通うしかありませんでした。
東大の英語・第二外国語の教育は質が低く、東大出身者は国際社会で外国語を使えない。このような問題を東大教授たちも分かっていたのでしょう。21世紀に入って、トライリンガル・プログラムができて、これに参加できる学生は少人数で特訓を受けることができます。アラタ君が参加するトライリンガルのドイツ語のクラスは13人。この人数なら、ゲーテ・インスティテュートと同じくらいの規模なので、前向きに参加すればドイツ語が上達するはずです。
また、トライリンガルに参加すると、文1から理3まで、専門分野を超えた優秀な友人が増える、単位にもなる外国研修に大学から補助が出る、などの魅力もあります。
英語を極めておくメリット
アラタ君が今回、トライリンガル・プログラムに編入することができたのは、1年次春学期に英語一列(必修の英語)の全員が受験する試験で、上位の10パーセントに入ることができたからです。
受験勉強の中で、英検準1級に合格した人のほとんどの東大受験生は「英語はこれで十分」「英検1級はオーバーワーク」と考えて、英検1級にはチャレンジしません。しかし私は、英検1級は東大入試にも役立つし、大学入学後、そして卒業後にも役立つので、がんばって1級まで取得することをアラタ君に勧めました。アラタ君は英検の勉強を高3になっても続けて、市川高校3年の秋に1級に合格しました。
東大の英語一列のテキストは、英検1級よりもレベルが上です。春学期の英語の試験がうまくいったのは、準1級合格後に英検1級のチャレンジをやめなかったから、と私は考えています。
大学入学後に必ず役に立つ科目は、文系なら英語と社会、理系なら英語と理科です。
(オックスフォード学院塾長・山本 清)
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