第1志望の大学に合格する可能性
浪人した人が本当に努力したなら、という条件付きですが、浪人は現役と比較すると、第1志望の大学に合格する可能性が高くなります。
アラタ君の現役時代の模試の成績を見ると、第1志望の東大文科Ⅰ類の合格可能性判定は、どの模試でもCかDでした。一方、浪人時代の模試の成績を見ると、ほとんどがAかBでした。模試の合格可能性は、間違いなく浪人時代の方が現役よりも高くなり、実際、試験結果も現役時代は不合格、浪人時代は合格でした。
学力が高くなることの意味
以上の第1のメリットとも密接に関連しますが、第2のメリットとして、大学で勉強する前提となる学力が高くなる、ということが挙げられます。このことは、高校でも、大学受験系ユーチューブでも、ほとんど語られていません。
アラタ君の場合は、歴史を中心とする社会科学・人文科学を大学で専攻する予定なので、世界史、日本史、英語の学力が重要になります。
世界史、日本史、英語という3つの科目は、現役の時から得意科目ではあったのですが、浪人時代にさらに得意になりました。東大入試の本番では、世界史が44点、日本史が51点、英語が81点でした。この3科目については、東大合格者の中でも上位で、念願の東大文科Ⅰ類に合格するための得点源になりました。
大学の授業でも優位に立つ
浪人時代に努力を重ねれば、入試で合格の決め手となる得意科目を複数つくることができる、という事実に加えて、浪人時代に磨きをかけた学力のおかげで、大学入学後も優位に立つことがでる、ということが重要です。
アラタ君の1年次の東大での勉強を見ると、まず、前期(Sターム、春学期)に英語の授業で上位1割に入ることができたので、現在(2024年10月の時点)、学力別の英語のクラス分けで、G1という選抜クラスに入ることができています。このクラスだけは、ネイティブが英語だけで解説をする「オールイングリッシュ」の授業です。G1に入ることができたのは、浪人時代に英語の実力を高めたから、ということができます。
世界史・日本史も役に立つ
世界史・日本史では、東大入試で地歴合計で95点という得点になったことは、当確の決め手だったわけですが、受験の世界史・日本史は、入学後の勉強にも直結しています。
1年次前期(Sターム)には、アラタ君は、中国近代外交史、フランス近代社会思想史、ナチスの戦争犯罪人アイヒマンを扱った授業を履修しました。これらの授業は、世界史が得意ではなかった、または世界史を受験で履修していなかった学生にとっては、授業についていくのが難しい科目でした。
今年(2024年)10月から始まった後期(Aターム)は、鎌倉幕府確立期の法制史、東ローマ史、18世紀イギリス史、パレスチナ史などを履修していますが、これらのいずれの科目も、世界史・日本史を受験生時代に深く学んでいない学生には厳しい科目です。
少人数授業の理由は勇気が必要
鎌倉幕府確立期の法制史は、学生が4人しかいません。また、東ローマ史は10人弱の授業です。このような少人数の授業は、授業中に毎回、発言をすることが求められます。東大の教養学部の前期課程は、大教室で教授が一方的に話をする、というイメージがありますが、履修の工夫をすれば、少人数のゼミ形式の授業をたくさん受講することが可能です。
このようなことを考えると、受験生時代に学力を高めておくことは、大学の勉強を成功させるために必要不可欠、ということができます。少人数の授業を選ぶためには勇気が必要ですが、その勇気の前提になるのは学力なのです。
高い学力を現役受験生時代に身につけることが十分できれば、もちろん、現役で大学に進学して問題はありません。しかし、もし自分が大学で勉強したい分野の前提になる受験科目の学力が不十分な場合は、浪人して学力を高めることには大きな意味があるのです。
早くから親と相談しておく
浪人が好ましくない、という雰囲気が高校の中、そして受験生の親子の中にあるために、浪人する、という選択肢がタブーになっていないか。私は心配です。
浪人を前提とするのか、しないのか。この動画を制作しているのは2024年10月。2025年に受験する人は、そろそろ決めておかないと、来年1月、2月の予定が立ちません。出願をどうするのか。地方の人は、東京のホテルをそろそろ押さえなければいけない時期です。もし、浪人を前提にすれば、アラタ君のように、今年は第1志望だけを受験することができ、そうすれば1月、2月の時間のほとんどを第1志望対策だけに充当することができます。
コメント