「謙虚さ」が、英語ができるようになる人、できるようにならない人を分けると私は考えています。
まず「英語ができる人」とは、どんな人でしょうか。英検1級、大学入試でどこの大学でも通用する英語力、社会人になって外国との交渉を一定程度、即戦力でできる人、という定義をしておきたいと思います。
帰国生、留学帰り、リモート英会話で外国人との英会話のレッスンを長く受講している人。これらの人は、一般的には「英語ができる人」になることができる、と思われているのではないでしょうか。しかし、このようなカテゴリーの人で英語ができる人は、実は多くはないのです。
なぜでしょうか。それは「謙虚さ」がないからです。
実は、私は留学帰りです。まず16歳の時、アメリカの高校に留学して卒業しました。帰国した時、自分では英語ができると思っていました。しかし、私の英語は東大入試に通用しませんでした。なぜでしょうか。
アメリカ留学から帰国後の私
私は1年間、アメリカの高校に留学しました。この学校はコンコード・アカデミーというアメリカでトップ5には入る名門校でした。この学校で授業を受け、テストを受験し、友人と交流したことは、大きな自信になりました。
ただ、今から振り返ると、自信を通り過ぎて、過信になっていたのだと思います。当時は英検準1級、という試験はありませんでしたが、今の英検で言えば、帰国した時の私の英語力は準1級ギリギリくらいの力だったと思います。口からは英語が出てくるし、かなり速く書くこともできる。速読もそれなりにできる。しかし、正確さを欠いていました。また、単語・熟語も1級の力には届かないレベルでした。
東大入試を一度、落ちたのですが、この年度の東大型の冠模試では、英語が平均点を少し上回る程度で、英語が武器にはなっていませんでした。このことを深く考えず、私は「採点が細かすぎるのだろう」などと自己弁護していました。東大入試は不合格でした。
東大に落ちてみて、私は自分の英語力について真剣に考えるようになりました。単語・熟語が足りない。文法の知識が不足しているため正確なライティング、リーディングができない。このようなことを自覚し、2回目の東大入試では英語はおそらく9割は得点できて、受験生の中でトップクラスだったと思います。2年目の模試の結果も、秋が深まるころには、英語の偏差値は80を超えるようになっていました。
どこで判断すればいいのか
自分が本当に「英語ができる人」になっているのか。これはどこで判断すればいいのでしょうか。
まず、英検1級に合格しているかどうか。私は東大入試を突破した後、英検1級に合格しました。当時の1級は合格率が3パーセントで、非常に難関でした。今の英検は合格率が10パーセントなので、当時よりは少し、受かりやすくなっていますが、それでも1級は難しい試験です。1級に合格しておけば、大学入試はほぼ大丈夫。社会人になっても、国際交渉がまったくできない、ということにはなりません。
次に、大学受験の河合塾の模試で英語の偏差値が80程度あること。駿台模試なら75で大丈夫です。東大の冠模試なら70でもかなりの英語力です。
このような「英語ができる人」になれる人は、実は帰国生、留学経験者のごく一部です。なぜでしょうか。
それは、帰国生、留学経験者は、かつての私のように「自分は英語がすでにできる」と思い込んでしまい、さらなる努力をする必要はない、と考えてしまいがちだからです。
リモート英会話、長年の塾通いも要注意
次に、外国での生活や留学を経験しているわけではないけれど、リモート英会話で外国人と会話をする、ということを長年、続けている人も要注意です。
週に数時間、リモート英会話をすると、だんだん英語が口から出てくるようになり、外国人が話す英語も聴くことができるようになってきます。そこで、どうなるのか、というと、やはり「自分は英語ができる」と思い込んでしまうようになる人がたくさん出てきます。
長く英語塾に通って、その塾で「あなたは英語ができる」とほめてもらっている人も、やはり要注意。ほめてもらえるので「自分は英語ができる」と思ってしまいがちです。
このように、自分は英語ができると思い込んでいる人でも、英検1級レベルの力があるか、大学入試でどんな大学でも合格できる英語力があるか、会社で即戦力の国際交渉力があるか、ということになると、まだ英語力が足りない人がほとんどです。
しかし、自分は英語ができると思い込んでいる人は、地を這うような努力をしたがりません。
楽しくない英語はやりたくない
上記のような帰国生・留学経験者・リモート英会話の学習が長い人・英語塾でほめてもらっている人は、楽しくない努力を嫌がります。
私の英語塾は、短期間に多くの英検合格者を5級から1級まで、継続的に出す塾ですが、生徒たちには努力を求めます。単語テストをします。音読、書き写しをします。これらは、いわゆる楽しい英語ではありません。
帰国生、留学経験者、リモート英会話の学習が長い人、英語塾でほめてもらっている人は、私の塾の体験受講をすると、入塾しない人が多いです。また、入塾しても、努力を続けることができず、やめてしまうことが多いのです。
一流の英語力を目指すために
以上のことをまとめると、謙虚さがないと英語で一流にはなれない、ということが言えると思います。一度、プライドを捨てて謙虚になってみましょう。
自分がチャレンジしている英検の級よりも下の級の復習をする。人がいやがるような音読、書き写し、短文の暗唱を継続する。このようなことができない人は、英語ができる人にはなれません。
帰国生・留学経験者・リモート英会話の学習が長い人・英語塾でほめてもらっている人は、特に要注意です。
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