内容としては教科書がベスト
教科書は、内容が非常に洗練されています。一流の先生たちが教科書をつくっているし、多くの人が内容を点検しています。もれなく基本文法、構文、単語、熟語、コロケーションが盛り込まれています。國弘先生が「中3の教科書からスタートせよ」というのには理由があります。
『英語の話し方』の中で、國弘先生は「中3の内容を完璧に理解している人は少ない」と言っていますが、その通りだと思います。中学の教科書でto不定詞に出会った時、それがto不定詞の3つの用法のどれなのか、理由とともに説明できる高校生、大学生、社会人は、多数ではありません。
しかし、教科書には欠点もあります。和訳や文法の解説がほとんどない、ということです。教科書を解説してくれる先生がいれば話は別ですが、独学する場合、教科書だけを読んでいては文法の理解を進めることは困難です。単語・熟語は辞書がかなりの手助けをしてくれますが、文法は、教科書を解説してくれる先生がいないと理解が難しいのです。
教科書に準じた音声付きの参考書を使う
そこで私は、教科書のような洗練された文章を集めてある参考書、しかも音声がついている参考書を音読教材にすることをお勧めします。
たとえば、Z会の『速読英単語』のシリーズ。これは、中学版から高校基礎、必修、上級と、レベルに応じて4冊あります。音声がついています。
同じZ会の『速読・速聴英単語』も、細かくレベルに分かれており、音声がついています。
『速読英単語』が受験を意識しているのと比べると、『速読・速聴英単語』は実用英語を意識しています。どちらにするのかは、好みでいいと思います。
そのほか、旺文社の『文単』シリーズがあります。これは、英検の各級ごとにレベルが分かれており、英検の過去問など、そのまま英検にすることができるレベルの優れた文章があつめてあり、やはり音声がついています。
英検の過去問の長文は、内容は非常に優れており、興味深い文章ばかりなのですが、音声がついていないので、音読用の教材としては不適、と言わざるを得ません。
まずは易しいレベルをふんだんに音読
これらの本の音読をする際に気を付けてほしいのは、自分が今、チャレンジしている英語のレベルよりも易しい本を選んで音読することです。易しい、と感じるレベルの本を選び、文法、単語、熟語を完璧にして、繰り返し500回、1000回音読して、暗唱のレベルまで到達することができてはじめて次のレベルの本を手に取ってください。
基本に謙虚に。これは國弘先生の言葉です。
その英文の内容を完璧に理解したうえで、考えずに言えて書けるレベルにまで到達しないうちは、次のレベルには進まないでください。
たとえば今、準1級の勉強をしている人の場合は、3級、準2級のレベルの本から音読を始めてください。
【紹介教材一覧】
●速読英単語(Z会)
①中学版 改訂版
②入門編 改訂第3版
③必修編 改訂第7版増補版
④上級編 改訂第5版
⑤速読英熟語 改訂版
●文単(旺文社)
①準2級 4訂版
②2級 4訂版
③準1級 4訂版
④1級 4訂版
●速読・速聴英単語(Z会)
①Basic 2400 ver.4
②Core 1900 ver.5
③Advanced 1100 ver.5
④Daily 1500 ver.4
⑤Business 1200 ver.2
⑥Opinion 1100 ver.2
⑦TOEIC TEST 1800 ver.2
●英会話・ぜったい音読(講談社インターナショナル)
①入門編
②続入門編
③標準編
④続標準編
⑤挑戦編
⑥続挑戦編
※國弘正雄先生が編者の「ぜったい音読」シリーズは、中学・高校の教科書の中からの章の抜粋で、CDがついています。入門編は中1・中2、標準編は中3、挑戦編は高1。和訳や解説はまったくありません。文法や単語・熟語を自分で調べることができる人は、この本で音読学習をすることができますが、独学の人の多くは、少なくとも和訳がついている「速読英単語」「速読・速聴英単語」「文単」シリーズの本を音読学習に使うことをおすすめします。
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